ストレスや加工食品、紫外線や排気ガスなど、現代人は活性酸素や糖化によって、細胞が「老化」しやすい日常を送っています。
活性酸素や糖化は細胞の老化をすすめ、お肌のたるみやシミを作ってしまう、いわば「毒」のようなもの。「体に毒を貯めないために、なにをするか?」が10年後の健康美容を作るといっても過言ではありません。
そこで、今回は、体に毒を貯めないためにキノコをはじめとする菌類の力を借りてみましょう。
菌が作る抗酸化成分の名は、「エルゴチオネイン」です。
今回は、エルゴチオネインとはなにか、そしてその効果やエルゴチオネインを使った糖化たるみを防ぐおすすめの飲み物を3つご紹介してみましょう。
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エルゴチオネインとは?
菌が作る抗酸化成分の正体は、「エルゴチオネイン」です。
=キノコ類などの菌類の一部や細菌類のみが作ることができるアミノ酸の一種
=水にとけ、熱や酸に強い性質を持つので加工しやすい
=高い抗酸化作用を持つ
エルゴチオネインは、しいたけなどの菌類や麹菌・真菌類などの一部の菌類だけがつくることができる、希少なアミノ酸です。
ヒトも自分で作ることはできません。
食べものなどから摂取する必要があります。摂取したエルゴチオネインは、臓器や血液、皮膚などに貯蔵されます。
エルゴチオネインが、今注目されている理由
実はエルゴチオネインが見つかったのは、100年以上前です。
しかし、昔はそこまで注目されていませんでした。ヒトの体へ入れてみたところで、なにも変化がないと思われていたからです。
しかし、2005年に状況は一変します。
エルゴチオネインを細胞内に取り込むための変換器である「エルゴチオネイントランスポーター」を人間が持っていることがわかったから!
エルゴチオネインを細胞内に取り込むことができれば、その抗酸化作用で、わたしたちの細胞は生まれ変わることができるかもしれません。
エルゴチオネインの効果
エルゴチオネインは、健康や美容に興味がある方にとって嬉しい効果がいっぱいです。その効果をひとつづつ紹介していきましょう。
効果① 活性酸素を除去する効果
いちばん注目されているのは「活性酸素を除去する効果」です。
現代人は、ストレスや加工食品、紫外線や排気ガスなど、活性酸素が発生しやすい状況にあります。
活性酸素は細胞にダメージを与えて、老化はもちろん、生活習慣病を引き起こすことが知られています。その活性酸素をエルゴチオネインは減らしてくれます。
スウェーデンのルンド大学などが行った研究によると、「エルゴチオネインの血中濃度が高い人は、心血管疾患リスクと死亡リスクが低かった」ことがわかりました。
効果② しわ・シミ・たるみ予防効果(アンチエイジング効果)
エルゴチオネインは、しわ・シミ・たるみ予防効果があります。
例えば、しわとたるみにしてみてみましょう。
わたしたちの肌には、コラーゲンと一緒に、エラスチンといわれる肌の弾力を保つ繊維があります。このエラスチンを分解してしまうのがエラスターゼと呼ばれる酵素です。そして、そのエラスターゼの邪魔をして、エラスチンを守るのが、今回のテーマ、エルゴチオネインです。
=肌の弾力を保つ繊維
=エラスチンを分解して、皮膚を硬くし、しわやたるみを作る酵素
=エラスターゼの活性を阻害するアミノ酸
また、エルゴチオネインは、シミやそばかすの原因であるメラニンを作る酵素チロシナーゼの邪魔をします。
=シミやそばかすの原因の色素
=メラニン色素をつくり出す色素細胞(メラノサイト)が持っている酵素
=チロシナーゼの活性を阻害するアミノ酸
言ってしまえば、エルゴチオネインはわたしたちの体に備わっているしわ・シミ・たるみを防ぐ成分の味方です。
それだけではありません。
エルゴチオネインは、過酸化脂質が作られないように守ってくれます。
=酸化した脂質
=ニキビや肌荒れの原因になる
=メラニン色素を誘発させ、シミを増やす
=エラスチンを壊し、しわやたるみを増やす
過酸化脂質は、酸化した脂質のことです。エルゴチオネインは、過酸化脂質によるニキビや肌荒れを防ぎ、紫外線から肌を守り活性酸素をつくりにくくすることから、皮膚の老化を防ぐといわれています。
エルゴチオネインは、過酸化脂質を抑制するといわれるコエンザイムQ10よりも、過酸化脂質の抑制や紫外線による活性酸素を抑制したというデータもあり、その効果が期待されています。
効果③ アルツハイマー病予防効果
エルゴチオネインは、認知症やアルツハイマー病を予防します。
2012年に台湾で行われたマウス実験によると、脳脂質の酸化を防ぎ、記憶喪失や学習能力の喪失から脳を守ってくれます。
神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)やうつ病、白内障などの予防効果も注目されています。
エルゴチオネインの摂取方法
エルゴチオネインは、ヒトの体内では作られません。そのため、食事から摂取する必要があります。
エルゴチオネインが含まれる食品
日本食品分析センターによるとエルゴチオネイン量が多い食品はやはりキノコ類です。
ヒラタケ→27.4㎎/100g当たり
エリンギ→12.7㎎/100g当たり
ハナビラタケ→11.2㎎/100g当たり
エノキタケ→9.8㎎/100g当たり
シイタケ→9.6㎎/100g当たり
ヤマブシタケ→9.1㎎/100g当たり
また、麹菌にも含まれているので、甘酒・塩こうじなどの発酵食品にも含まれています。
エルゴチオネインの必要摂取量
エルゴチオネインのサプリメントを販売するカイゲンファーマ株式会社の「販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠などに関する基本情報」によると、タモギタケエキスを使用したエルゴチオネインの1日摂取目安量は5mgです。
食習慣を踏まえた場合、エルゴチオネインを1日当たり約12mg摂取しても健康被害の報告はなかったとのことなので、5g~12g以内であれば、大きな問題はなさそうです。
エルゴチオネインが含まれるサプリ・化粧品
エルゴチオネインは、サプリなどからもとることができます。毎日同量をきちんと飲み続けてみたい方は、サプリもおすすめです。また、化粧品の成分としてもエルゴチオネインは使われています。
糖化たるみを防ぐおすすめの飲み物3選
エルゴチオネインをサプリメントからではなく食品から摂りたい場合は、飲み物から摂ることをおすすめします。
食べ物からとると飽きてしまうことや忘れてしまうこともあるけど、飲み物は習慣化しやすいのが大きなメリット!
わたしが糖化たるみケアのためにやっている超かんたんな飲み方(レシピ)をご紹介しましょう。
レシピ① 甘酒アーモンドミルク
1つ目のレシピは、エルゴチオネインが入っている甘酒を無糖のアーモンドミルクなど、日常的に飲む飲み物にお砂糖の代わりに入れる方法です。
甘酒:おちょこ1杯程度(18cc)
牛乳や豆乳でも問題ないので、好きな飲み物に入れてみてください。
わたしはほんの少しですが、乳製品に遅延性アレルギーを持っているので、あまり牛乳を飲み過ぎないようにしていますが、特にアレルギー持ちでなければ牛乳でも構いません。甘酒は飲む点滴と言われるほどに栄養が豊富です。特に美肌ビタミンであるビタミンB群が豊富なので、エルゴチオネインとのダブル効果が期待できます。
皮膚のかぶれを抑えてくれる
ビタミンB2
新陳代謝を促し細胞を再生してくれる
ナイヤシン(ビタミンB3)
血流をアップさせてくれる
ビオチン(ビタミンB7)
コラーゲンを作る働きを促す
ナイヤシン(ビタミンB3)
血流をアップさせてくれる、乾燥を防ぐ
コウジ酸、フェルラ酸
メラニンの生成を抑制する効果
いくら体によい甘酒でも、飲み過ぎには注意が必要です。甘酒は血糖値を上げるので、1日おちょこ1杯程度が適量です。
レシピ② キノコ昆布茶
2つ目のレシピは、エルゴチオネインが入っているタモギダケの粉末を使った昆布茶です。
タモギダケの粉末:適量
お湯:200㏄
食品の中でもエルゴチオネインの含有量が多いのは、タモギダケです。タモギダケの粉末が手に入るなら、タモギダケで作ってみましょう。
でも、こだわり過ぎる必要はないです。しいたけをすったものを昆布茶に入れるだけでも風味がでてとてもおいしいので、好きなキノコ類でためしてみてください。
タモギダケはコラーゲンの生成を助けてくれるアミノ酸のグリシンも豊富なので、美肌づくりを助けてくれます。
レシピ③ キノコの味噌汁
最後のレシピは、エルゴチオネインが入っているキノコ類と麹菌が入った味噌の2つが入っているをどさっと入れたキノコの味噌汁です。
お食事の時に具沢山のお味噌汁を食べるのも良いですが、お腹が空いたときに空腹を埋める間食のつもりで具が少なめのあったかいお味噌汁を飲むのもおすすめです。
キノコはあらかじめパウダー状にしておくと、なんにでも混ぜることができるのでおすすめですよ。
まとめ
エルゴチオネインは、高い抗酸化作用を持ち、わたしたちの健康や美容をサポートしてくれることがわかりました。
活性酸素を除去してくれたり、糖化を予防してくれたり、シミ・しわ・たるみなどの予防をしてくれるだけでなく、健康長寿のための体のベースづくりを助けてくれます。
熱にも強く、あまり変形しないので、お料理にも入れやすいし、繊細に扱う必要がないのがうれしいところ。
特にキノコ類や麹を使った発酵食品である、甘酒、塩こうじ、味噌などに多く含まれているので積極的にとることをおすすめします。
参考にしてみてね。
参考:研究結果&論文等
Ergothioneine is associated with reduced mortality
and decreased risk of cardiovascular disease
https://heart.bmj.com/content/heartjnl/early/2019/10/31/heartjnl-2019-315485.full.pdf
A comparison of the relative antioxidant potency of L-ergothioneine and idebenone
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17760697/
L-Ergothioneine scavenges superoxide and singlet oxygen and suppresses TNF-alpha and MMP-1 expression in UV-irradiated human dermal fibroblasts
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15744438/
Ergothioneine protects against neuronal injury induced by β-amyloid in mice
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22921351
Statement on the safety of synthetic L-ergothioneine as a
novel food supplementary dietary exposure and safety
assessment for infants and young children, pregnant and
breastfeeding women
https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.2903/j.efsa.2017.5060
販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠などに関する基本情報
エルゴチオネイン含有機能性表示食品(プレーン風味)
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42103300550102
※この内容は、診断・治療または医療アドバイスを提供しているわけではありません。あくまで情報提供のみを目的としています。
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