腸内環境が悪いとどんな症状が起こるの?
腸内環境を整えようっていうけど、なんで整えないといけないの?
今自分の腸内環境がいいのか悪いのかよくわからない…チェック方法はある?
今回は、こんな疑問にお答えします。
・腸内環境が悪いと、自律神経・ホルモン・免疫細胞が正常に働かないことによってトラブル多発!
・便秘や下痢だけでなく、肥満・糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病にもつながる可能性あり
・多少の変化は想定内!病気になる前に腸内環境を整えて再調整するのが大事
「腸は大事!」
「腸内環境を整えよう」
「善玉菌を増やして、悪玉菌を減らそう」
そんな言葉がよく聞かれるようになりました。
でも、難しい腸のはなしを簡単にしようとすると、言葉は曖昧になり、「なんで整える必要があるの?」「腸内環境が悪いと何が起こるの?」と疑問を抱く方も多いみたい。
そこで今回は、腸内環境が悪いと何が起こるのか、どんなリスクがあるのかを徹底解説!
今自分の腸内環境がいいのか、悪いのか、よくわからない方に向けてチェックリストも作ってみました。
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。
結論!腸内環境が悪いと心も体も不安定になる
結論から言うと、腸内環境が悪いと、私たちの心や体は不安定になり、通常運転ができなくなります。
なぜなら、腸はヒトの体の中で脳と同じぐらい神経細胞が張り巡らされていて、腸独自の判断で動いている自立型の臓器だから。
「腸は第二の脳」と言う言葉を聞いたことがありますか?
腸だけは脳の命令を聞かずに、独自に体や心の調整をしてくれていますが、腸内環境が悪いとその調整ができなくなってしまうのです。
腸の影響が大きいのは、「自律神経系」「内分泌系(ホルモン)」「免疫系(免疫細胞)」の3つ。
内分泌系(ホルモン)
免疫系(免疫細胞)
腸内環境が悪いと、体内の細胞同士の情報交換を手伝ってくれる「自律神経系」「内分泌系(ホルモン)」「免疫系(免疫細胞)」の働きが悪くなり、心と体はバランスを崩していくのです。
腸内環境とは?
ヒトの腸内には約100兆個、1000種類の腸内細菌が住んでいます。
似ている種類の腸内細菌たちが集まって群れを作っているように見えるので、「腸内細菌叢」とか「腸内フローラ(=お花畑)」と呼ばれています。
「腸内フローラ」の腸内細菌たちのバランスは、ひとりひとり全く違うことがわかっています。
腸内細菌がしていること
腸内には、ヒトにとって良いことをする「善玉菌」と悪いことをする「悪玉菌」、そしてどちらか優勢なほうのマネをする「日和見菌」がいますが、特に善玉菌がしていることは以下の5つです。
善玉菌がしていること
→糖やタンパク質を分解する
→善玉菌が住みやすい環境にするための有機酸(乳酸や酢酸)を作る
→体を調整するためのビタミンB群、葉酸、ビタミンKなどを作る
→病原菌から体を守ったり、細胞の異常分裂(病気の元)を防ぐ
→有害な物質(発がん物質など)を体外に排出する
腸内環境が悪化すると、善玉菌の割合が減り、これらのヒトにとって有益な作業をしてくれなくなってしまいます。
善玉菌だけいれば「腸内環境が良い」と言えるのか?
わかりやすくするために、テレビや雑誌などのメディアでは、「悪玉菌」や「善玉菌」という言葉を多く使います。
腸内細菌それぞれがいろんな活動をしているので、大事なことは「善玉菌が多くて、悪玉菌が少ないこと」ではなく、「たくさんの種類の菌がいること(=菌の多様性)」なんです。
あまりあり得ないことですが、例えば善玉菌である乳酸菌が100%の腸内細菌叢があったとします。
この腸内細菌叢は決して「腸内環境が良い」とは言えません。
本来ならあまりいない菌が異常に増加したり、腸内細菌のバランスが明らかに変わってしまうことを、「ディスバイオシス(dysbiosis)」と言います。
=腸内細菌叢の構成異常
=腸内菌共生バランス失調
健常人にもさまざまな構成の腸内フローラを持つ人がいるので、これが正解!というようなはっきりと良いと言える腸内細菌バランスはまだわかっていません。
でも、特定の病気の人が持つ腸内フローラの傾向などは少しずつわかってきていて、腸内フローラと関係のありそうな病気が少しずつ見えてきています。
腸内フローラが変化する要因
腸内フローラはさまざまな要因によって、良くも悪くも変化します。
ディスバイオシスを改善する要因
発酵食品
乳酸菌
ポリフェノール
運動
抗酸化剤
ディスバイオシスを悪化させる要因
ストレス
環境因子
化学物質
抗生物質
ディスバイオシスの原因としては、食生活の乱れ、感染などによる炎症、抗生物質の使用などが考えられることがわかってきました。
特に食生活の乱れは、毎日の習慣が関わってくるので、影響が大きいと言われています。脂肪の多い食事や食物繊維が不足する食事を毎日続けていると、ディスバイオシスに陥る可能性が高まります。
ディスバイオシスと関連が深い病気一覧
炎症性腸疾患(inflammatory boweldisease:IBD)
過敏性腸症候群などの消化管疾患
メタボリックシンドロームや肥満などの代謝性疾患
リウマチ性疾患
精神神経疾患 など
大事なのは腸内細菌叢の多様性
まだ明確なエビデンスがなく、腸内細菌叢がこの状態の人は、必ずこの病気になるなどの明確な指標はありません。
しかし、最近よく言われているのが、腸内細菌の多様性が低いと、病気になるリスクが高いということです。特に炎症性腸疾患の方は、腸内細菌叢のバランスが悪いだけでなく、多様性が低い(=腸内細菌の種類数が少ない)ことが多いと言います。
第113回日本内科学会講演会シンポジウムの報告資料(※3)によると、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の患者は、腸内フローラの多様性が低いことが指摘されています。
特に短鎖脂肪酸である酪酸を作り、免疫細胞を誘導することができるクロストリジウム属菌が少ないのだとか。
腸内環境が悪くなる原因
ディスバイオシスなどの異常現象にならなくても、ヒトの腸内環境は常に変化しています。
ちょっとしたバランスの変化は日常茶飯事なので、腸内環境が不安定になっていることに気がついたら、すぐに戻すことができるかどうかが健康や美容を保つ秘訣です。
腸内環境が悪くなる一般的な原因は以下のとおりです。
➁食生活の乱れ
➂ストレス
➃加齢
一つずつ見ていきましょう。
原因➀ 便秘
腸内に老廃物が溜まったままになってしまう便秘は、腸内環境の悪化に直結します。
腸に便が溜まった状態は、キッチンに生ゴミが置きっぱなしになっているようなもの。
放置すれば、悪玉菌が増殖し、腸内環境はどんどん悪化していきます。腐敗ガスが充満すれば、善玉菌も減っていき、腸内環境はさらに悪化します。
原因➁ 食生活の乱れ
いちばんわかりやすくダイレクトに腸内環境の悪化に響くのが食事です。
悪玉菌は脂質や糖質が多い食事を好むので、食の欧米化が進んだり、インスタント食品ばかりを食べると腸内環境が乱れがちになると言われています。
またアルコールの摂りすぎも腸内環境を乱す原因になります。
原因➂ ストレス
腸と自律神経は密接に関わっていて、腸内環境が乱れると自律神経も乱れます。
自律神経には、アクセルの働きをする「交感神経」とブレーキの働きをする「副交感神経」があり、このうち腸内環境を活性化させるのは、「副交感神経」です。
副交感神経=ブレーキ=リラックス・緩和=胃腸の働き上昇
ストレスが多い時は、交感神経が優位になるので、胃腸の働きが低下し、消化が進まなくなったり、便秘になったり、便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群になる可能性が高まります。
原因➃ 加齢
腸内環境は年をとればとるほど変化していきます。
善玉菌が増えてくれればよいのですが、一般的には加齢とともに悪玉菌が増えがちになります。
高齢者の便秘が増えるのは、筋肉の低下により腸のぜん動運動が弱くなることも関係しますが、腸内細菌叢自体の変化も原因のひとつです。
腸内環境が悪い時に起こる症状・トラブル
腸内環境が悪い時に起こる症状・トラブルは、以下のとおりです。
風邪を引きやすくなる
インフルエンザにかかりやすくなる
アレルギーが発症/悪化する
花粉症が発症/悪化する
肌荒れしやすくなる
血糖値が上がりやすくなる
代謝が悪くなる
太りやすくなる
過敏性腸症候群になりやすくなる
糖尿病になりやすくなる
高血圧になりやすくなる
心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる
非アルコール性脂肪肝炎になりやすくなる
うつ病にかかりやすくなる
パーキンソン病になりやすくなる
がんになりやすくなる など
今すぐできる!腸内環境チェックシート
あなたの腸内環境は大丈夫?チェック項目
腸内環境の良し悪しは、「便の状態」「食事習慣」「食事以外の生活習慣」で見ていきます。
便の状態
□便やおならがくさい
□便が固すぎる/やわらかすぎる
□便の色が黒い/赤い
□排便の時間や状態が不規則(便秘・下痢)
食事習慣
□野菜類をあまりとらない
□きのこ類や海藻類をあまりとらない
□発酵食品をあまりとらない(納豆、キムチ、ヨーグルトなど)
□毎日同じものばかり食べてしまう
□食事の時間が不規則
□アルコールが好き/甘いものが好き
□インスタントやレトルト食品などの加工食品ばかり食べてしまう
食事以外の生活習慣
□運動不足になりがち
□睡眠不足になりがち(1日6時間以下)
□ストレスの多い生活を送っている
□タバコを普段から吸っている
□抗生物質を飲み続けている
□完璧主義である
□除菌・抗菌グッズを愛用している
□肌荒れ、吹き出物などの肌のトラブルがある
それぞれのジャンルで1つ以上チェックがついたら要注意、3つ以上のチェックがついたら危険信号です。
腸内環境を意識して整えることを検討しましょう。
腸内環境を整える基本的な方法
腸内環境を意識して整えるとはいっても、まずは特別なことをする必要はありません。
基本的には、以下の3つだけで十分です。
方法➁ バランスの取れた食事を心がける
方法➂ ストレスのない生活を送る
一つずつ見ていきましょう。
方法➀ 規則正しい生活を心がける
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事をし、同じ時間に入浴して、同じ時間に寝ることを徹底しましょう。
自律神経を整えるためには、朝起きてすぐに日光の光を浴びて体を起こしたり、軽い運動を積極的に行うことも重要です。
方法➁ バランスの取れた食事を心がける
和食の基本「まごわやさしい」を念頭に置いて、いろんな食材をバランスよく食べましょう。
ご:ごま(ナッツ類)
わ:わかめ(海藻類)
や:野菜
さ:魚
し:しいたけ(きのこ類)
い:いも(いも類)
インスタント食品ばかりだと栄養バランスも崩れがちになり、腸内細菌を乱す保存料などの添加物も多めです。
毎日の生活で料理をする時間がない人は、毎回毎食インスタントに頼らずに、発酵食品を使って時短することも検討しましょう。
方法➂ ストレスのない生活を送る
普段の生活に問題がないのに体調不良に陥りがちな人は、ストレスが多い可能性があります。
ストレスは影響範囲が大きく、それだけで睡眠不足になったり、免疫力が下がったり、便秘や下痢を繰り返す原因になります。
ストレスが溜まってからでは日常生活が困難になりがちで、なかなか浮上できません。
普段からストレスが溜まったと感じた時に実行する「ストレス解消リスト」を持っておいて、自分の異変に感じたら、すぐに実行できるようにするのがおすすめです。
まとめ:腸内環境が悪い時に起こる症状と原因4選
腸内環境が悪いと、私たちの心や体は不安定になり、通常運転ができなくなります。
腸の影響が大きいのは、「自律神経系」「内分泌系(ホルモン)」「免疫系(免疫細胞)」の3つ。
内分泌系(ホルモン)
免疫系(免疫細胞)
腸内環境が悪いと、体内の細胞同士の情報交換を手伝ってくれる「自律神経系」「内分泌系(ホルモン)」「免疫系(免疫細胞)」の働きが悪くなり、心と体はバランスを崩していくのです。
腸内環境が悪い時に起こる症状・トラブルの具体例は、以下のとおりです。
風邪を引きやすくなる
インフルエンザにかかりやすくなる
アレルギーが発症/悪化する
花粉症が発症/悪化する
肌荒れしやすくなる
血糖値が上がりやすくなる
代謝が悪くなる
太りやすくなる
過敏性腸症候群になりやすくなる
糖尿病になりやすくなる
高血圧になりやすくなる
心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる
非アルコール性脂肪肝炎になりやすくなる
うつ病にかかりやすくなる
パーキンソン病になりやすくなる
がんになりやすくなる など
腸内環境を意識して整えるとはいっても、まずは特別なことをする必要はありません。
基本的には、以下の3つだけで十分です。
方法➁ バランスの取れた食事を心がける
方法➂ ストレスのない生活を送る
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参考文献
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
https://www.jsge.or.jp/citizens/hiroba/backnumbers/hiroba11/hiroba11_03
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/9/105_1695/_pdf
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170802_1/