【この記事で解決できるお悩み】
・黒酢と普通の酢(米酢)の違いはなに?どちらを買えば良いの?
・料理をするとき、どうやって使い分ければ良いの?
・黒酢の効果をおしえて!ダイエット効果が高いのはどっち?
この記事では、こんなお悩みを解決します!
真っ黒な見た目とまろやかな酸味で、健康マニアな方に人気の黒酢。
「黒酢を毎回リピ買いしていて、普通の酢と2本持ちがあたりまえ」という人がいる一方で、「普通の酢(米酢)があれば、別に購入する必要性を感じない」という方もいるでしょう。
たしかに両方とも、ただのお酢。
ではなぜ、黒酢と普通の酢(米酢)をわざわざ2本買っている人がいるのでしょうか?
もしかしたら、黒酢独自の大きなメリットや効果があるのかも?
そこで今回は、黒酢と普通の酢(米酢)の違いを徹底解説!
みなさんひとりひとりがどちらの酢を買えばいいのか、どんな使い分けができるのか、まるっと整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
黒酢と普通の酢(米酢)の違いは?
黒酢と普通の酢(米酢)の違いは、以下の5点です。
一つずつ見ていきましょう。
原料の違い
黒酢と普通の酢(米酢)は、原料が違います。
シンプルに言うと、黒酢の原料は玄米、米酢の原料は白米です。
黒酢(米黒酢) | 普通の酢(米酢) | |
---|---|---|
原料 | 玄米 | 米 |
玄米とは、稲を収穫した後に、もみ殻だけ取り除いたもののこと。
ぬかや胚芽が残ったままの状態の米のことを指します。
普通の酢に使われる米とは、玄米の状態からさらにぬかや胚芽をすべて取り除き、精白した米のことを指しています。
農林水産省が発表している「醸造酢の日本農林規格(※1)」によると、黒酢(=別名米黒酢)と普通の酢(米酢)の定義は、以下の通り。
米酢
=穀物酢のうち、米の使用量が穀物酢1Lにつき40g以上のもの(米黒酢を除く。)をいう。米黒酢
引用:(※1)醸造酢の日本農林規格|農林水産省
=穀物酢のうち、原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精白したものを除く。以下この項において同じ。)又はこれに小麦若しくは大麦を加えたもののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上であつて、かつ、発酵及び熟成によつて褐色又は黒褐色に着色したものをいう。
厳密にいうと、黒酢は玄米以外にも小麦や大麦が混ざっていることもあるんですね。米酢も100%米から作られていなくても「米酢」と呼びます。米のみで作られているものは「純米酢」って呼ぶよ。
製法・作り方の違い
黒酢と普通の酢(米酢)は、製法・作り方が違います。
厳密にいえば、黒酢も米酢もメーカーによって作り方が違います。ここでは一般的な大手メーカーが作る大量生産型の米酢と、伝統的な製法で作られる福山黒酢(鹿児島県産)を比べてみましょう。
黒酢(米黒酢) | 普通の酢(米酢) | |
---|---|---|
発酵方法 | 壺に入れて 屋外で自然発酵させる | 金属容器に入れて 屋内で工業的に発酵させる |
発酵期間 | 1年以上 | 数か月 |
福山黒酢(鹿児島県産)の場合、杜氏さんが壺に玄米と麹菌と水を入れて仕込み準備をしたら、あとはそのまま屋外に何年も放置します。
放置といっても、ほったらかしにするわけじゃないよ。
壺に雑菌が入ってしまったら腐敗してしまうため、365日休むことなく職人が管理しています。
毎日大事に育てられながら、鹿児島の比較的暖かい気候と、強い太陽の光で、ゆっくりと発酵が進みます。
一方の大量生産型の米酢の場合は、効率的に発酵させ、なるべく早く商品が完成し、安く提供できるように人工的な工夫をします。
【製造期間を短くする工夫の例】
・糖化期間を短くするために、乳酸菌を人工的に添加
・酢酸発酵期間を短くするために、途中で完成した食酢の一部を添加
・酢酸発酵期間を短くするために、液体全体に空気を送り込む(=全面発酵法)
酢酸菌は、空気が好きな好気性の菌です。
そのため、従来の液体の表面しか発酵が進まない「静置発酵法」ではなく、液体全体に空気を送り込んで酢酸発酵を早める「全面発酵法」を使うケースも多くなっています。
静置発酵法 | 全面発酵法 | |
---|---|---|
方法 | タンクを置きっぱなしにする | タンクに人工的に空気を送り込む |
発酵期間 | 80日~120日 | 1日 |
生産規模 | 大量生産ができない | 大量生産ができる |
味 | コクやうま味が強い | 酸味が強く淡泊な味 |
値段 | 高い | 安い |
工業的な工夫によって、一般的には3~4か月でお酢が完成します。
お酢の基本的な作り方のステップは、黒酢も米酢も同じ。
1:原料の糖化
麹菌の酵素で原料の糖を分解し、酵母菌等の発酵菌のエサを作る
↓
2:アルコール発酵
酵母菌が発酵する過程で、アルコールを作る
↓
3:酢酸発酵
酢酸菌が発酵する過程で、酢酸を作る
麹菌を使って原料の糖化を行い、アルコール発酵がスムーズに進む土台を作ります。その後、酵母菌がアルコールを作り、さらに酢酸発酵が進みやすい土台を作った上で、最終的には酢酸がたっぷり含まれたお酢ができます。
黒酢の発酵期間は、長いものだと3年、6年、10年、15年などいろんな製品があります。長くなればなるほど、香りがたち、コクがでて、おいしいけど、お値段も上がります。
栄養素の違い
黒酢と普通の酢(米酢)は、原料も製法も全く違うため、完成後の栄養素も大きく違います。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)(※3)によると、黒酢と普通の酢(米酢)の栄養成分は以下のとおり。
黒酢(米黒酢) | 普通の酢(米酢) | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 54 | 46 |
たんぱく質(g) | 1 | 0.2 |
脂質(g) | 0 | 0 |
炭水化物(g) | 9 | 7.4 |
有機酸(g) | 4 | 4.4 |
ナトリウム(㎎) | 10 | 12 |
カリウム(㎎) | 47 | 16 |
カルシウム(㎎) | 5 | 2 |
マグネシウム(㎎) | 21 | 6 |
リン(㎎) | 52 | 15 |
鉄(㎎) | 0.2 | 0.1 |
亜鉛(㎎) | 0.3 | 0.2 |
銅(㎎) | 0.01 | – |
マンガン(㎎) | 0.55 | – |
クロム(μg) | 2 | 1 |
モリブデン(μg) | 9 | 4 |
ビタミンB1(㎎) | 0.02 | 0.01 |
ビタミンB2(㎎) | 0.01 | 0.01 |
ナイアシン(㎎) | 0.6 | 0.3 |
ビタミンB6(㎎) | 0.06 | 0.02 |
ビタミンB12(μg) | 0.1 | 0.1 |
葉酸(μg) | 1 | 0 |
パントテン酸(㎎) | 0.07 | 0.08 |
ビオチン(μg) | 1 | 0.4 |
黒酢は原料が玄米なので、全体的に栄養価が高く、特にタンパク質やアミノ酸、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル分が多くなります。
酢酸だけじゃなくて、全体的にバランスのよい栄養素がとれるという意味で、黒酢はとても人気です。
味と香りの違い
黒酢と普通の酢(米酢)は、香りも大きく違います。
黒酢(米黒酢) | 普通の酢(米酢) | |
---|---|---|
味と香り | まろやかで深い | つんととがっている |
黒酢はお酢独特のつんととがった、指すようなきついにおいがあまりなく、代わりにまろやかな香りがします。
この原因は、黒酢に多く含まれるアミノ酸。
アミノ酸は、うま味のもとになる栄養素ですが、さらににおいもまろやかにしてくれます。
熟成期間などにもよるので、一概には言えませんが、アミノ酸がたっぷりの黒酢は火を通さなくても深い香りがして、お料理の幅が広がり、時短料理にも使えます。
色の違い
黒酢と普通の酢(米酢)は、色も大きく違います。
黒酢(米黒酢) | 普通の酢(米酢) | |
---|---|---|
味と香り | 黒っぽい | 黄色・透明っぽい |
この黒い色の正体は、メイラード反応(アミノカルボニル反応)と呼ばれるものです。
メイラード反応(アミノカルボニル反応)
=アミノ酸が糖質に触れると褐色色素メラノイジンが生まれる科学反応のこと
食品に含まれるアミノ酸などの成分が糖質に触れると、お料理の際にフライパンにつく焦げのような反応が生まれます。
熟成期間が長ければ長いほど黒くなるので、1年熟成の黒酢より10年熟成の黒酢のほうが一般的に色が黒くなります。
メイラード反応は黒酢だけに起こるものではないの。味噌や醤油も発酵の過程でメイラード反応が起こって茶色くなっています。
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黒酢と普通の酢(米酢)の使い分け方
黒酢と普通の酢(米酢)は、それぞれ味や香りに特徴があり、調理の際の役割が違います。
【黒酢の特徴】
・酸味が弱く、コクが強い
・加熱しなくてもまろやか
・芳醇な香りがする
・色が黒い
使い分けのポイントを料理別すると、以下の2つに分けられます。
一つずつ見ていきましょう。
炒め物・煮物を作るときの使い分け
酢豚や餡かけ系の炒め物や煮物を作るときは、その目的によって黒酢と米酢を使い分けましょう。
使い分けのポイントは、以下のとおり。
黒酢:
コクや風味をプラスして、まろやかな味にしたい時に利用する
肉や魚の生臭さを抑えたい時に利用する
米酢:
酸味をプラスして、脂っこさを抑えたい時に利用する
肉や魚のを柔らかくしたい時に利用する
どちらを使うかは、どんな味が好みかによるかな?
酢の物・ドレッシングを作るときの使い分け
マリネや酢の物、ドレッシングなど、生のまま黒酢や米酢を使う時は、その目的によって黒酢と米酢を使い分けましょう。
黒酢:
だしやアミノ酸系調味料を使わずに、コクを出したい時に利用する
(シンプルな調味料だけでもうま味が出る)
米酢:
だしやアミノ酸系調味料と混ぜて、きりっとした酸味がほしい時に利用する
(ガツンとした酸味のインパクトが出る)
黒酢ドリンクはお酢なのに、まろやかなので飲みやすいよ。
黒酢に期待できる3つの効果
黒酢と米酢は似ているようで、まったく違う味を作ることができる調味料です。
しかも、体内で作られない9種類の必須アミノ酸のうち、8種類を摂取することができ、ダイエットや基礎代謝の維持、健康維持に不可欠なミネラルやビタミンB群も豊富。
そのため、以下のような効果が期待されています。
一つずつ見ていきましょう。
ダイエット効果
黒酢に期待できる効果の1つ目は、ダイエット効果です。
黒酢は米酢に比べてアミノ酸が豊富に含まれているため、代謝を促してくれる効果があります。
▼だからダイエット中の方は、黒酢ドリンクを良く飲まれているんだなぁ…。
東京海洋大学などの研究チームが、軽度肥満の大人に黒酢成分が含まれた食品を12週間食べてもらい、同時に毎日10分間の運動をさせる実験を行ったところ、エネルギー代謝の改善により脂肪が減少したことを報告(※4)しています。
総脂肪,内臓脂肪,皮下脂肪の変化量とそれぞれの初期値の相関関係では,総脂肪面積,皮下脂肪面積において試験食品群のみが負の相関関係を示しており,脂肪面積量が多いほど,減少量が多いことが示され,運動と組み合わせることで過剰な皮下脂肪を落とす可能性が示唆された.
引用:(※4)黒酢含有食品の体脂肪及びエネルギー代謝へおよぼす影響
アミノ酸を効率的にとることができるので、ダイエット時にも進んで黒酢を摂ってみるとよいかも?!
血流改善効果
黒酢に期待できる効果の2つ目は、血流改善効果です。
鹿屋体育大学などの報告(※5)によると、50ml/日の黒酢を1か月間摂取したところ、血流を改善するはたらきを持つことが示唆されたのだとか。
さらに黒酢には、中性脂肪やコレステロールが溜まってしまうのを防ぐアミノ酸「リチジン」や「ロイシン」も多く含まれるので、血液をサラサラにしてくれるとも言われています。
脂っこいものが好きな方は、黒酢を継続的に摂取してみるのもいいかも?
抗酸化作用
黒酢に期待できる効果の3つ目は、抗酸化作用です。
活性酸素は、もともと体内に侵入したウイルスや病原菌から守るために大事なものですが、体内で増えすぎると病気や老化のもとになることが知られています。
この活性酸素を除去してくれる抗酸化作用が、黒酢に期待できることが報告(※6)されています。
黒酢に抗酸化作用があると言われる理由は、豊富に含まれるヒドロフェルラ酸、ジヒドロシナピン酸などのポリフェノールです。
黒酢はポリフェノール類を豊富に含み、抗酸化作用を有することが報告されている。代表的な遊離ラジカル分子である1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl radicalを黒酢は除去し、in vitro においてLDL酸化を抑制した
引用:(※7)A review of Kurozu, amber rice vinegar made in pottery jars
黒酢は、病気予防、老化予防、肥満予防などなど、いろんなリスクを予防してくれる力がありそうです。
黒酢のおすすめの摂取法
黒酢は酸味が弱く、うま味が強いので、比較的摂りやすいお酢のひとつ。
わたしは実は米酢のきーんとした酸っぱさがニガテなので、勝手に米酢よりかなり親しみやすく感じてます。笑
そのまま飲むこともできてお手軽ですが、継続するためにはコツがいります。
おすすめの摂取法としては以下のとおり。
一つずつ見ていきましょう。
毎日黒酢ドリンクにして飲む
黒酢を毎日継続的に摂取するためには、なるべくシンプルな方法に落とし込むのがベスト。
毎日黒酢ドリンクを飲むことを習慣にすると、かんたんに継続できます。
【材料】
黒酢:15㏄
水か炭酸水:150㏄
はちみつや甘酒などの甘味料:お好みで
【作り方】
1:黒酢と甘味料を混ぜてベースを作る
2:水か炭酸水で割ったら完成
黒酢は原液のまま飲むと、のどが焼けてしまう可能性もあるので、必ず水かお湯、炭酸水で薄めてから飲むようにしてください。
すっきりして頭もさえるような気がするのが不思議!おすすめのかんたんドリンクです。
黒酢サプリを飲む
毎日黒酢ドリンクを作るのが面倒という方は、黒酢成分が配合されたサプリメントを飲むのもおすすめです。
めんどくさがり屋さんは、サプリという手もあります。笑
まとめ:黒酢と普通の酢(米酢)の違いを解説!ダイエット効果が高いのは?
黒酢と普通の酢(米酢)の違いは、以下の5点です。
そもそも原料や作り方が、米酢のそれとは全く違う黒酢。
そのおかげで、あふれるばかりのアミノ酸と、ミネラル、ビタミンB群が豊富です。
普通によく使われる米酢ももちろん有機酸は多いのですが、アミノ酸量は米酢の比ではありません。
このアミノ酸のおかげで、以下のような効果も期待できます。
ダイエット中の方はもちろん、将来の健康や美容が気になる方は、ぜひ参考にしてみてね。
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参考文献
(※1)醸造酢の日本農林規格|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_06_jozosu_160224.pdf
(※2) 酢のきほん|みんなの発酵BLEND
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/07.html
(※3)日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
(※4)黒酢含有食品の体脂肪及びエネルギー代謝へおよぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/11/1/11_67/_pdf/-char/en
(※5)Antioxidant activity of the new black vinegar “IZUMI”
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21125203/
(※6)黒酢の抗酸化作用|タマノイ酢
https://www.tamanoi.co.jp/company/challenge/common/img/research/I.pdf
(※7)A review of Kurozu, amber rice vinegar made in pottery jars
https://www.ffhdj.com/index.php/ffhd/article/view/713