
・夢を見ることが必ずしも睡眠の質が悪いというわけではない
・夢を覚えているかどうかは性格や性別などによる。これまで夢を覚えていなかったのに急に忘れなくなった場合はストレスを抱えていることも?
・1日に1つ以上の夢を覚えている(何度も夜中に起きている)場合も注意が必要
「睡眠の質が悪いと、眠りが浅くて夢を見てしまうのでは?」
そう思っている方も多いと思います。
しかし、それはちょっと違うかもしれません。
今回は睡眠の質と夢の関係を整理しながら、夢を覚えている人と覚えていない人の違いを整理してみたいと思います。

目次
結論:夢を見ること=睡眠の質が悪いではない
そもそも夢を見ること自体は、とても良いことです。
人間は寝ている間に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類の睡眠を繰り返しています。
この「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が入れ替わるごとに夢の内容が切り替わっていると言われています。
正常な睡眠時間と睡眠リズムを保てている人は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の切り替えを1日に8~10回は繰り返しているので、8~10回の夢を見ているのが普通です。
一晩のうちに多くの夢を体験するのは、自然な眠りができているということで、睡眠の質が悪いわけではありません。

夢を覚えているのは悪いこと?
一晩のうちに多くの夢を見ることは当たり前です。
しかし、その夢を覚えている場合と覚えていない場合にはどんな違いがあるのでしょうか?
覚えている夢は「目覚める直前のレム睡眠時に見た夢」だけだと考えられています。
ノンレム睡眠中に起きてしまった場合や、寝始めてすぐの夢は忘れてしまいます。

しかし、1番のうちに何度も起きてしまって、複数の夢を見たことを覚えている場合は少し問題かもしれません。
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夢とは?
実は夢はまだはっきりとは解明されていない、謎の多い現象であることは確かです。
精神分析学の創始者として知られる「ジークムント・フロイト」の唱えた学説によると、夢は潜在的な願望が偽装されたものであると言われていますが、これもまだ専門家の間で議論が続いています。
=夢は潜在的な願望が偽装されたもの
BYフロイト
なぜ夢を見るのか?(目的)
なぜ夢を見るのか?その目的はまだはっきりとはわかっていません。
現在でも専門家の間でいくつかの仮説が立てられていて、引き続き研究が行われています。
代表的な夢の目的(仮説)は以下の通りです。
=情報を整理して、必要なものを長期記憶として定着させている
➁記憶の消去をしている
=イヤな記憶や不必要な記憶を消去して、精神的な健康を保っている
➂感情を整理している
=感情の記憶を再生して、処理している
➃記憶を分析している
=現実に起きたことを客観的に評価・分析している
➄特に目的はない
=睡眠時に見るもので特に目的はない

なぜ夢はすべて覚えていられないのか?
2019年9月、名古屋大学環境医学研究所の山中章弘教授のグループが、脳にあるメラニン凝集ホルモン産生神経(MCH神経)がレム睡眠中に夢の記憶を残らないように消去していることを明らかにしました。
この研究によると、夢は必要な記憶を定着させるために記憶を正しく関連付けしている時にみるものだとされています。
起きる直前の夢しか覚えていられないのは、MCH神経に消されちゃうから…と考えると確かにつじつまがあうなぁ…
睡眠の種類と夢の特徴
昔は夢を見るのは、浅い眠り(=レム睡眠)の時だけだと言われていました。
しかし、その後の研究では「浅い眠り(=レム睡眠)」も「深い眠り(=ノンレム睡眠)」も関係なく夢を見ていることがわかってきています。
↓
深い眠り(=ノンレム睡眠)
↓1時間程度
浅い眠り(=レム睡眠)
↓
深い眠り(=ノンレム睡眠)
↓
浅い眠り(=レム睡眠)
↓
深い眠り(=ノンレム睡眠)
↓
浅い眠り(=レム睡眠)
↓
深い眠り(=ノンレム睡眠)
↓
浅い眠り(=レム睡眠)
↓
起床
眠り始めてからすぐに深い眠り(=ノンレム睡眠)に入り、その後だいたい1時間程度で浅い眠り(=レム睡眠)に移行すると言われています。
その後は深い眠りと浅い眠りを繰り返しながら、少しずつ周期が短くなり、レム睡眠が増えていきます。
夢はこの切り替えの度に種類が変わりますが、寝ている間ずっと見ているというのが近年の見解です。
眠りの種類 | 眠りの深さ | 特徴 |
---|---|---|
レム睡眠 | 浅い眠り | 体は休んでいるが脳は活動的/記憶の固定や定着を行う |
ノンレム睡眠 | 深い眠り | 体も脳も休んでいる/記憶の結合や消去を行う |
レム睡眠の夢の特徴
レム睡眠は眠りが浅いので、起床のタイミングに重なることが多くなります。
また、レム睡眠状態の時に無理やり起こした場合、起こされた人が「夢を見ていた」と回答する確率は約80%だったというデータもあり、かなりの率で夢を見ています。
起きたときに見ている夢の多くは「レム睡眠の夢」だと言っても過言ではありません。
・鮮明である(覚えている)
・体感時間が長い
・突拍子がないがきちんとストーリーがある
・実体験に近いストーリーが多い
・感情が動かされるストーリーが多く刺激的な夢が多い
・脳は起きているので、感情の制御を行う大脳辺縁系が活性化している時に見る

ノンレム睡眠の夢の特徴
ノンレム睡眠は眠りが深く、脳も休憩中なので、起床のタイミングに重なることが少なく、あまり覚えていないケースが多くなります。
しかし、夢を見ていないわけではありません。少ない報告からどんな特徴があるのか確認すると以下のような夢であることがわかっています。
・鮮明度や内容が乏しい
・体感時間が短い
・実際の出来事がそのまま現れる事が多い
・ずっと夢を見ているわけではなく一定の睡眠段階でみることが多い
一般的にノンレム睡眠の夢は体感時間が短く、断片的になります。
ある一部のイメージや音などの感覚的な体験をしたり、ストーリーがあるのかないのかわからないことも多く、あいまいな夢になりがちです。
これは脳が眠っていて感情の制御を行う大脳辺縁系が活性化していないことが理由です。
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夢を覚えている人と覚えていない人の違い
人間はみな夢を見ています。
それもレム睡眠中とノンレム睡眠中の両方で見ているので、1日に何回か夢を見ているはずです。
しかし、わたしたちは「夢を見た」「今日は夢を見なかった」「普段から夢をよく見る」「最近よく夢を見るようになった」などと、人や時期によって認識が変わります。
これは一体なぜなのでしょうか?
その違いは単純に「見た夢を覚えているかどうか」です。
前述したように夢はMCH神経によって削除されるのが普通なので、覚えておくことのほうが難しくなります。
夢を忘れにくいケースは以下の通りです。
ケース➁ 男性より女性が多い
ケース➂ 眠りが浅い?
ケース➀ ストレスを感じやすい人が多い
1997年に御茶ノ水女子大学で行われた研究(※1)をご紹介しましょう。
この研究では高校1年生125名に試験時と平常時に夢を覚えているかインタビューを行いました。
高校1年生125名(男子70名:女子55名)
内容:
試験直前のストレスが多い時期と平常時に、夢を想起できるかを調査。
また試験にストレスを感じやすい群とストレスを感じにくい群の2つに分類。
➀夢を見たことは覚えているか?
➁その夢の内容を覚えているか?
結論:
人はストレスを感じている方が夢を覚えていることが多い
(ストレスを感じにくい人のほうが夢を覚えていないことが多い)
この研究によると、ストレスを感じやすい人のほうが夢を覚えていることが多いことがわかり、性格と夢の想起には関係があることがわかりました。
よく夢を覚えている人は比較的ストレスを感じやすく繊細で心配性で細やかであるという特徴があり、ネガティブな心理状態の時のほうが記憶しやすい可能性があります。
ケース➁ 男性より女性が多い
2006年に法政大学で行われた研究(※2)によると、不安やストレスが高いと夢想起頻度も関連して高くなりますが、その際、男子よりも女子のほうが夢を覚えていることが多いことも分かりました。
不安高女子>不安高男子>不安低女子>不安低男子

ケース➂ 眠りが浅い?
見た夢を覚えているかどうかは性格や性別によって変わることが分かりました。
ケース➀と➁については、起床した時に見ていた夢を覚えているケースなので睡眠の質にはあまり関係がありません。
しかし、睡眠の質が心配なケースもあります。
例えば、1晩のうちに何回も目が覚めてしまい、1日に複数の夢を見た記憶がある場合です。
途中覚醒するたびに夢を見ていたことを覚えていて、1日に何度も夢を見た記憶があるのなら、それはかなり眠りが浅い証拠です。
これは睡眠の質がよいとは言えないでしょう。

睡眠の質をよくする方法
ケース➂の眠りの浅さに心当たりがある方は、睡眠の質を良くすることを考えましょう。
睡眠の質を良くする方法は以下の通りです。
方法➁ 光をコントロールする
方法➂ トリプトファンを摂取する
それではひとつずつ見ていきましょう。
方法➀ 生活リズムと自律神経を整える
睡眠の質をよくする方法の1つ目は、生活リズムと自律神経を整えることです。
健康の基本は生活リズムを整えることです。
自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系はすべて体の中でつながっていて、夜になると眠くなる(=体内活動がリラックスモードにシフトする)ようにできています。
しかし、毎日全く違う時間に起きたり、寝たり、食事をしたりするとなかなかこのリズムが固定せず、質の良い睡眠がとれなくなります。
睡眠、食事、運動などの日々の活動を毎日同じ時間に行い、起床時間や就寝時間も大きくずれないようにすることを心がけましょう。
方法➁ 光をコントロールする
睡眠の質をよくする方法の2つ目は、光をコントロールすることです。
光は自律神経の切り替えに大きくかかわっていて、光によって自律神経をコントロールすることができます。
副交感神経が優位になる=リラックスモード=光を弱くする
朝起きたらすぐにカーテンを開けて、交感神経が優位になるのをサポートしましょう。同じ理由で、朝日を浴びるために朝の散歩を習慣にするのも有効です。
また夜寝る前にスマホやパソコンをいじってブルーライトを浴びるのはあまりよくありません。
光を意識して、自律神経を整えることで自然な睡眠導入を心がけましょう。
方法➂ トリプトファンを摂取する
睡眠の質をよくする方法の3つ目は、トリプトファンを摂取することです。
トリプトファンは、たんぱく質に含まれるアミノ酸の一種で、睡眠の質を高めるホルモン「メラトニン」を作る材料になります。
トリプトファンを摂取する
↓
セロトニンが分泌される
↓
メラトニンが分泌される
午前中のうちにたまごや肉、乳製品などのトリプトファンが多く含まれる食事をして、夜までにメラトニンを作ることを目指しましょう。
まとめ ~夢を覚えている=睡眠の質が悪いではない~
夢を見る=睡眠の質が悪いわけではありません。
そもそも夢を見ること自体は、とても良いことです。
人間は寝ている間に「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類の睡眠を繰り返しています。
この「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が入れ替わるごとに夢の内容が切り替わっていると言われています。
正常な睡眠時間と睡眠リズムを保てている人は、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の切り替えを1日に8~10回は繰り返しているので、8~10回の夢を見ているのが普通です。
しかし、以前は夢を全く覚えていなかったにも関わらず、最近よく夢を覚えている人がいたとしたら、それは心配ごとやストレスがたまっている可能性があります。
また、1日に1つ以上の夢を覚えている(何度も夜中に起きている)場合も、睡眠の質が下がっている可能性が高いので注意が必要です。
眠りの浅さに心当たりがある方は、睡眠の質を良くすることを考えましょう。
睡眠の質を良くする方法は以下の通りです。
方法➁ 光をコントロールする
方法➂ トリプトファンを摂取する
参考にしてみてね。
逆転してしまった、昼夜のリズムを戻したい方におすすめ
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参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpjspp/5/1/5_KJ00001287040/_pdf/-char/ja
https://hosei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=4133&item_no=1&page_id=13&block_id=83