


「ザワークラウト」と「酢キャベツ」って何が違うの?もしかして、同じもの?
今回は、こんな疑問にお答えします。
・「ザワークラウト」と「酢キャベツ」の大きな違いは、発酵しているか、していないか
・発酵しているほうが効果効能が大きいわけではない(それぞれメリットあり)
・大事なことは、どちらかを選ぶことではなく、習慣的に食べること!
ドイツ発祥のキャベツの漬物「ザワークラウト」と「酢キャベツ」は、同じものであると誤解されがちです。



「ザワークラウト」と「酢キャベツ」は、両方ともキャベツを使った酸っぱい漬物です。
しかし、厳密にいうと別のもの。その作り方や中に入っている発酵菌、栄養素が微妙に違うのです。
今回は、そんな「ザワークラウト」と「酢キャベツ」の違いを発酵のプロが徹底解説!
「ザワークラウト」と「酢キャベツ」の違いを整理して、自分に合うキャベツのおいしい食べ方を見つけましょう。



発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。
結論!違いは乳菌発酵しているかどうか
「ザワークラウト」と「酢キャベツ」のいちばん大きな違いは、「乳酸発酵しているかどうか」です。
酢キャベツ=乳酸発酵していない
でも、乳酸発酵しているからザワークラウトが健康や美容に良いというはなしをしたいわけではありません。
健康や美容に良いのがどっちかは、人によって違います。
ここでは、以下の5つの違いを解説します。
違い➁ 発酵の種類が違う
違い➂ 期待される効果効能が違う
違い➃ 完成までの時間が違う
違い➄ 味やアレンジ法が違う
一つずつ見ていきましょう。
違い➀ 材料が違う
酢キャベツ=キャベツ+酢+塩(+砂糖)+鷹の爪などのスパイス
ザワークラウトと酢キャベツは、両方ともキャベツと塩を使っています。また、そこにプラスする香辛料やスパイスも同じです。



大きく違うのは1点だけです。
「酢」を入れるか、入れないか。
酢キャベツ=酢を入れる
ザワークラウトは、酢を入れないにも関わらず酸っぱくなります。この酸味の正体は、乳酸菌がつくる乳酸です。
一方、酢キャベツは、酢を入れて作るので、酸っぱくてあたりまえ。キャベツ自体は発酵しておらず、すでに発酵の過程を経て完成した「酢」が入っています。



違い➁ 発酵の種類が違う
酢キャベツ=発酵なし。酢単体では、アルコール発酵、酢酸発酵
ザワークラウトは、前述したようにキャベツについた自然由来の植物性乳酸菌を使って発酵させ、その過程で乳酸などの酸が作られます。
乳酸菌が多く使われているため、発酵の種類でメインとなるのは、「乳酸発酵」です。
一方、酢キャベツは、それ自体は発酵していません。しかし、発酵の過程を経て作られた酢が含まれています。
酢はアルコール発酵と酢酸発酵をさせることで完成する発酵調味料で、酢酸がたっぷり含まれています。



酢には、酢酸の他にも乳酸やコハク酸、リンゴ酸、クエン酸、アミノ酸、エステル酸など多くの酸が含まれていると言われています。
違い➂ 期待される効果効能が違う
酢キャベツ=酢酸やクエン酸がたっぷり、疲労回復・血流改善に吉
ザワークラウトも酢キャベツも、両方いろいろな酸が含まれているので、極端に期待される効果効能が違うわけではありません。
しかし、一般的にザワークラウトは乳酸菌や乳酸が多いことが知られているのもあり、腸内環境の改善効果が期待されています。



2018年にデンマークで行われた研究(※1)によると、乳酸発酵をしたザワークラウトは、過敏性腸症候群(IBS)患者の方の症状を緩和することがわかりました。
この研究では、乳酸発酵をしたザワークラウトの乳酸菌をサプリメントとして6週間毎日摂取したところ、症状の改善が確認できたそうです。
おもしろいのは、この乳酸菌のサプリメントを作る際に、低温殺菌して乳酸菌が死菌になっても同じ効果が得られたことでした。



この研究から、ザワークラウトの乳酸菌はプロバイオティクス(=菌自体)としての働きはもちろん、プレバイオティクス(=腸内細菌のエサ)としての働きも注目されることになりました。



他にも2021年にアメリカのミシガン州立大学で行われた研究(※2)によると、ザワークラウトを食べると乳がんのリスクが減る可能性があるという報告があったり、2018年にポルトガルのリスボン大学で行われたザワークラウトの乳酸菌に関する研究(※3)では、ザワークラウトの乳酸菌は酸に強い乳酸菌が多いことも報告されています。
一方、日本人にとっては古くからお世話になっている発酵調味料のお酢。
お酢の主成分は、酢酸です。
乳酸と酢酸は、両方とも腸内環境に存在する有機酸のひとつで、善玉菌が暮らしやすい腸内環境を作ってくれる成分です。



お酢には酢酸はもちろん、乳酸やアミノ酸など複数の種類の酸が含まれているため、その健康効果も注目されていて、研究が繰り返されています。
例えば、2010年に日本で行われた黒酢の研究(※4)によると、1日あたり50ml を1カ月間摂取するだけで、血液がさらさらになり、血流が改善されたことが報告されています。



習慣的にお酢をとることができ、さらに食物繊維も一緒にとれる酢キャベツは、健康効果の高いおかずのひとつだと言えそうです。



酢キャベツが私的に便秘によく効いてる
毎日お通じあるの久々で凄く手応えを感じる(酷ければ1週間近く出ない人)
食べてない日も数日は恩恵を受けられてるのでありがたい
腹部マッサージもあんまり効果無かったからやっぱり物は試しで取り組んでみるものだ— 葉奈♔リス♔参列済⛪ひきこもり強化期間エクストラ💜 (@hanamaru_1) June 20, 2022
違い➃ 完成までの時間が違う
酢キャベツ=30分程度で食べられる(混ぜるだけ)
健康・美容効果が高いザワークラウトと酢キャベツですが、作る工程が違い、特に完成するまでの時間は大きく違います。
ザワークラウトは発酵する時間が必要なので、完成までに少なくても4~5日は必要です。
一方、酢キャベツは酢にキャベツを入れてなじませるだけなので、1時間以内に食べることができます。



違い➄ 味やアレンジ法が違う
酢キャベツ=さっぱり、すっきり。使うお酢によって味が違う
ザワークラウトは、発酵食品独特の発酵臭がしますが、酢キャベツの場合は使うお酢に味が依存するので、発酵臭が少ないこともありえます。
代わりに酢キャベツはお酢の酸味がさわやかで、すっきり感が強まる場合が多くなります。



ザワークラウトのほうが酸味がやわらかくなりやすいので、いろんな料理に使いやすいというメリットがあります。(ただし、酢キャベツも使うお酢によっては酸味がやわらかくなるので、一概に酢キャベツの酸味が強いとも言えません)
ザワークラウトも酢キャベツも、どちらもわたしたちの体をリセットしてくれる力があります。ぜひ好きな方を継続的に食べてみてください。
酢キャベツの作り方
酢キャベツの基本的な作り方は、以下の通りです。
材料
キャベツ:300g
米酢:100ml
塩:小さじ1
鷹の爪:1本



リンゴ酢で酢キャベツ作った🍎
食べるのたのしみ
. 🍎 三 🍎
/// \\\
🍎 \( ‘ᾥ’ )/ 🍎
\\\ \ \ ///
🍎 三 🍎 pic.twitter.com/NZhkOCK7Kn— まち (@machi0206) June 19, 2022
作り方レシピ
➁キャベツを千切りにする
➂ジッパー付きビニール袋にキャベツと塩を入れて、しんなりするまでもむ
➃酢と鷹の爪を入れて、さらにもむ
➄30分~半日ほど漬けたら完成



まとめ:ザワークラウトと 酢キャベツの違い5選
「ザワークラウト」と「酢キャベツ」のいちばん大きな違いは、「乳酸発酵しているかどうか」です。
酢キャベツ=乳酸発酵していない
細かく整理すると、5つの違いがあります。
違い➁ 発酵の種類が違う
違い➂ 期待される効果効能が違う
違い➃ 完成までの時間が違う
違い➄ 味やアレンジ法が違う
発酵しているほうが健康や美容にいいと思っている方もいますが、一概にそうとも言えません。酢キャベツに使うお酢にもさまざまな健康・美容効果が認められています。
どっちが体にいいかは人によって違うので、味が好きなほうや効果を感じるほうを継続的に食べてみてくださいね。
「発酵の資格を最短でとって、日本の発酵文化を広める活動をしてみたい」
「発酵食品を健康や美容に活かす具体的な方法を、継続的に得られる環境がほしい」
「発酵食品について悩んだ時や楽しみたい時に、共有・相談できる仲間が欲しい」
「好きな発酵に関連するお仕事や副業をしてみたい」
…とお思いの方は、発酵食について、時短かつ体型的に学べる「発酵ライフアドバイザー養成講座」がおすすめ!



\無料講師講座などサポートいっぱい(*´ω`*)/



参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30256365/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34682540/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30192827/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21125203