
今回は、こんな疑問にお答えします。
・もろみは味噌や醤油などの発酵食品を作る工程で生まれるどろどろの液体のこと
・清酒もろみ、醤油もろみ、もろみ味噌などいろんな種類がある
・アミノ酸やビタミン、乳酸菌や麹菌などの菌体が多く含まれるため期待できる効果もたくさん!
近所のスーパーやコンビニではなかなか目にすることができない発酵食品の「もろみ」。
みなさんは食べたことはありますか?
醤油を手作りしたことがある発酵マニアな人達の間では「アレはおいしい」と話題になることも多い、魅惑の液体です。
それと同時に、「醤油もろみ」や「清酒もろみ」、「もろみ味噌」や「もろみ酢」など、「もろみ」と名前についた食品が多く、なんのことを指しているのかよくわからないという問題も…。
そこで今回は、「もろみ」について大解説!
発酵食品の原点ともいえる「もろみ」の定義はもちろん、効能や作り方もご紹介します。

「もろみ」とは?
もろみとは、日本酒や焼酎、味噌や醤油などの発酵食品を作る工程で、それぞれの原料を混ぜて発酵熟成させたもののことを指します。

特によく「もろみ」が取り上げられるのは、日本酒と醤油です。
これらはそれぞれ違う漢字を持っています。
諸味(もろみ)=醤油のもろみのこと

「もろみ」の種類と作り方
「もろみ」の種類には、こんなものがあります。
➁ 醤油もろみ(=諸味:もろみ)
➂ もろみ味噌
➃ もろみ酢
それぞれの概要や作り方を見てみましょう。
作り方➀ 清酒もろみ(=醪:もろみ)
醪(もろみ)は、日本酒ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のことです。
=日本酒ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のこと
=別名:清酒もろみということもある
日本酒の作り方をざっくり単純化すると、以下のとおりです。
第二段階:発酵してどろどろになった醪(もろみ)をしぼり、液体だけにする
第三段階:日本酒(液体)と酒粕(固体)に分けられる
第二段階でできたどろどろの液体が醪(もろみ)で、第三段階で液体だけになったものが日本酒(=酒税法上の清酒)です。

また、第二段階のどろどろの醪(もろみ)のまま販売されることもあります。これが「どぶろく」です。
=もろみ(醪)をしぼらずにそのまま製品化したもの
=酒税法上は「その他の醸造酒」であり「清酒」ではない
=別名:もろみ酒とも言う

作り方➁ 醤油もろみ(=諸味:もろみ)
諸味(もろみ)は、醤油ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のことです。
=醤油ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のこと
=別名:醤油もろみということもある
醤油の作り方をざっくり単純化すると、以下のとおりです。
第二段階:発酵してどろどろになった諸味(もろみ)をしぼり、液体だけにする
第三段階:醤油(液体)と醤油粕(固体)に分けられる
第二段階でできたどろどろの液体が諸味(もろみ)で、第三段階で液体だけになったものが醤油です。

株式会社ヤマト醤油味噌では、通常の醤油だけでなく、醤油もろみも販売されているので、100g中の原材料や成分を比べてみましょう。
醤油 | 醤油もろみ | |
---|---|---|
内容 | 搾った後の醤油(液体)のみ | 搾る前の醤油(液体)+醤油かす(固形分) |
原材料名 | 大豆(国産)、小麦(国産)、食塩/アルコール | 大豆(アメリカ)、小麦(アメリカ)、食塩/アルコール、酸味料 |
エネルギー | 46kcal | 106kcal |
たんぱく質 | 5.7g | 10.4g |
脂質 | 0.0g | 2.6g |
炭水化物 | 5.7g | 10.3g |
食塩相当量 | 12.8g | 13.8g |
備考 | 搾った分の菌体成分(麹菌・乳酸菌・酵母)とその代謝成分(ペプチド・有機酸・ビタミンなど)は含まれない | 搾っていないので、菌体成分(麹菌・乳酸菌・酵母)とその代謝成分(ペプチド・有機酸・ビタミンなど)がそのままとれる |
引用:株式会社ヤマト醤油味噌のホームページ

醤油は発酵の過程で、麹菌・酵母・乳酸菌の3種類が関わって作られます。
初期に追加される麹菌は、タンパク質分解酵素(=プロテアーゼ)や糖質分解酵素(=アミラーゼ)などの酵素をたくさん持っています。
麹菌は栄養素を分解して、アミノ酸などのうま味の素や、ブドウ糖やオリゴ糖などの乳酸菌のエサを作ってくれます。
同時に塩に弱い麹菌は少しずつ減っていき、比較的塩に強い乳酸菌が麹菌が作ってくれた糖をエサにしながら増えていきます。
乳酸菌は、乳酸を作ります。乳酸がたくさん含まれた醤油には、酸がニガテな腐敗菌が寄り付けなくなるので、腐敗しにくくなります。
しかし、乳酸菌は実は酸に弱いので、自ら作った酸にやられて減っていき、今度は酵母が増えていきます。
酵母菌はアルコールを作るので、芳醇な香りがする風味豊かな醤油ができますが、やっぱり酵母菌もアルコールに弱いので、自ら作ったアルコールにやられて少しずつ減っていきます。
このように醤油が完成するまでにはいろんな菌が関わり、麹菌→乳酸菌→酵母菌と入れ替わっていきます。
また、それと同時に糖やアミノ酸、アルコールなどがたくさん作られたおかげで、うま味や糖がたくさん含まれた丸みのあるおいしい醤油ができるのです。
最終的には麹菌、乳酸菌、酵母菌とすべて減ってしまうわけだけど、死菌でもちゃんと醤油もろみには残っています。死菌は食物繊維と同じように腸内環境を整えてくれると言われているので、醤油もろみごと食べたほうが腸活効果は高いと言われているの。
ぶどう糖=甘味成分
アルコール=芳醇な香り
液体をしぼらない醤油もろみは、「醤油の素」とも言われ、味が濃厚で芳醇な香りに包まれています。

作り方➂ もろみ味噌
もろみ味噌は、醤油もろみと同じ工程で作られます。
しかし、醤油と違って、主役は最終的に絞られる醤油ではなく、もろみ味噌が主役です。
そのため、醤油の規格に合わせて作る必要はなく、材料はバラエティに富んでいて、塩分量を少なくしたり、麹を増やして甘くしたり、砂糖などの調味料を入れるなどのアレンジがされています。
=大麦や大豆、米などで作った麹を塩水で発酵・熟成させたもの
=塩分を少なめにしたり、糖を多めにしたり、麹や麦のつぶを残すなどのアレンジがされている
きゅうりにつけて食べる「もろきゅう」は、このもろみ味噌を使った料理です。
株式会社ヤマト醤油味噌のホームページから引用した醤油や醤油もろみと栄養成分を比べてみると…
醤油 | 醤油もろみ | ひしお味噌(もろみ味噌) | |
---|---|---|---|
エネルギー | 46kcal | 106kcal | 198kcal |
たんぱく質 | 5.7g | 10.4g | 6.5g |
脂質 | 0.0g | 2.6g | 2.7g |
炭水化物 | 5.7g | 10.3g | 38.8g |
食塩相当量 | 12.8g | 13.8g | 4.8g |
引用:
醤油と醤油もろみは、株式会社ヤマト醤油味噌のホームページから引用
ひしお味噌(もろみ味噌)は、日本食品標準成分表2020年版から引用

作り方➃ もろみ酢
もろみ酢は、焼酎や泡盛を作る工程でできる酢です。
=焼酎や泡盛のもろみを絞ってできた酒粕を圧搾・ろ過したもの
もろみ酢は酢酸発酵している食用酢とは別で、つんとした酸味は少なく、希釈せずストレートで飲むこともできます。
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「もろみ」の栄養と効能
一言に「もろみ」と言っても、もろみには多くの種類があることがわかりました。
もちろんそれぞれ原料が違うので、栄養や効能も異なります。しかし、共通しているのはそれぞれ発酵の過程を経ているということです。
発酵の過程を経ていることで、以下の成分が多く入っていることが期待できます。
効能➁ 麹菌・乳酸菌などの菌体による腸内環境の改善
効能➂ レジスタントプロテインによる血中コレステロールの改善
効能➀ アミノ酸による代謝アップ
アミノ酸は肝臓に運ばれ、体の各組織のタンパク質を作り替え、代謝を高めることができます。
・体力の維持や向上、疲労回復を助ける
・肌のターンオーバーを正常化する
・免疫力を高める
・ストレスを軽減し、睡眠を改善するなど
効能➁ 麹菌・乳酸菌などの菌体による腸内環境の改善
麹菌・乳酸菌・酵母などの菌体は、食物繊維と同じように腸内細菌のエサになります。
・便秘の緩和
・下痢の緩和
・ストレスを軽減し、睡眠を改善するなど
効能➂ レジスタントプロテインによる血中コレステロールの改善(※1)
レジスタントプロテインは、コレステロールや糖が吸収される前に結合して排出を促してくれます。
・食後血糖値が急激に上がるのを防ぐ
・血中コレステロールが上がるのを防ぐ
・心筋梗塞や脳卒中の予防 など

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「もろみ」の食べ方をチェック!
実際にもろみを食べている方の口コミをご紹介します。
口コミ➁ 鷹の爪やガーリックと合わせた加工品も存在!
口コミ➂ もろみ味噌はやっぱりきゅうりと一緒が鉄板?!
一つずつ見ていきましょう。
口コミ➀ 醤油しぼり後の醤油もろみはそのままでおいしい!
醤油搾りにちょこっと参加。生の醤油、火入れした醤油、絞ったあとのもろみ。どれも美味しゅうございましたー。#雑草研究所 #幕張仕込みの醤油 #幕張ブルワリー pic.twitter.com/kQEUE9n2oc
— 雑草研究所 (@zasso_labo) February 16, 2020
醤油の命「諸味」(もろみ)です。小麦、大豆、塩と水のみで作ります。醤油は諸味を絞った「生揚」(きあげ)から作ります。今回の災害ですべての諸味を失いました。現在は協力会社から「生揚」を購入し醤油を製造しています。諸味の製造再開まで約1年、熟成に1年かかる見込みです。
— みそ・しょうゆ蔵/釜田醸造所【公式】 (@ganbarukamata) October 10, 2020
醤油搾った後のもろみ!
これだけでも美味しく食べれます!
ご飯にかけたり、お豆腐の上に乗せたり、サラダに乗せたり、野菜と一緒に炒めたりと食べる醤油みたいな感じです! pic.twitter.com/mbrDhPslI9— おるびす@オーナーシェフ (@Orbisblue) February 9, 2020

口コミ➁ 鷹の爪やガーリックと合わせた加工品も存在!
沢山入荷してる〜❤️
醤油のもろみと、鷹の爪や、ガーリックと合わせた「食べる醤油」シリーズ!#食べる醤油#身体に優しい商品#身体に優しい加工食品 pic.twitter.com/8rfDGPv6Dr
— エンジェルズギフト(北九州市戸畑区) (@55angelsgift) May 27, 2022
【しょうゆの実】醤油を作る過程のもろみに、米麹を混ぜて発酵させた「食べる醤油」。まろやかなしょうゆの香りに麹の旨みと甘み…。炊きたてごはんにのっけて食べるとおかわりが止まらないよ!pic.twitter.com/kODdZqQIxS
— 庄内の食を語る信濃藤四郎 (@s_mogu_47no) May 25, 2022
「めざましテレビ」で、当店の「食べるめんつゆ」をご紹介頂きました🎉
醤油を絞る前の醤油もろみに、チップ状の鰹節、昆布、椎茸を混ぜ込みました。具材感がある食べる感覚の調味料です。白ご飯や卵かけご飯にかけたり、お豆腐や麺類に合わせても美味しいですよ pic.twitter.com/E7wZZH5JdS
— 堅魚屋(かたうおや) (株)新丸正・直売店 (@katauoya_) February 5, 2021
本日のおススメです❗️
飛騨高山で手に入れました❗️生もろみ❗️こちらも美味しい❗️絞って醤油にする前のものです❗️
醤油の香りがして美味しい❗️食べる醤油です❗️こちらは生の野菜が良く合います❗️
行ってよかった❗️飛騨高山❗️
皆様、本日もお待ちしております❗️🙇♂️
#クロカル#日本酒#日本酒天国 pic.twitter.com/7f1VBvt4vp
— クロカル 玉村 (@Fukusukefukusu) February 19, 2020

口コミ➂ もろみ味噌はやっぱりきゅうりと一緒が鉄板?!
今朝はミートソースパスタ。トマトたっぷりで作りました。佐野みそ本店でいろんなお味噌を買ってきたんだけど、もろみ味噌も手に入れたのできゅうりでいただきました。魚を食べる日だけど先日前だおしで食べたので今日はこんな。#あさのあさごはん pic.twitter.com/3wf6BYndkg
— 浅野真澄@フリーになりました (@masumi_asano) June 11, 2022
久世福で買うこのもろみ味噌、きゅうり何本でもいける。ごはんにも。もち安くて美味い!220円なり。
朝から買い出し① pic.twitter.com/OKktWw4xbw— Peony.I (市川しゃくやく) (@peony_ichikawa) June 5, 2022
もろみ味噌の罠にはまり
1日三本くらいきゅうりポリポリしてるやべぇ
— おふとぅん (@fatcat082451) June 5, 2022

まとめ:「もろみ」とは?効能や作り方を解説!
もろみとは、日本酒や焼酎、味噌や醤油などの発酵食品を作る工程で、それぞれの原料を混ぜて発酵熟成させたもののことを指します。
特によく「もろみ」が取り上げられるのは、日本酒と醤油です。これらはそれぞれ違う漢字を持っています。
=日本酒ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のこと
=別名:清酒もろみということもある
=醤油ができる前の(絞る前の)どろどろの液体のこと
=別名:醤油もろみということもある
また、もろみ味噌やもろみ酢もファンが多い発酵食品のひとつです。
=大麦や大豆、米などで作った麹を塩水で発酵・熟成させたもの
=塩分を少なめにしたり、糖を多めにしたり、麹や麦のつぶを残すなどのアレンジがされている
=焼酎や泡盛のもろみを絞ってできた酒粕を圧搾・ろ過したもの
一言に「もろみ」と言っても、もろみには多くの種類があることがわかりました。
もちろんそれぞれ原料が違うので、栄養や効能も異なりますが、総じて代謝アップや腸内環境の改善、血中コレステロールの改善効果が期待できる成分が多く含まれることがわかりました。
効能➁ 麹菌・乳酸菌などの菌体による腸内環境の改善
効能➂ レジスタントプロテインによる血中コレステロールの改善
発酵食品である「もろみ」はわたしたちの健康・美容を助けてくれることが期待できそうです。
ぜひ、発酵食品を日々の食生活に活用しましょう。
発酵食品を体系的に学ぶなら発酵ライフアドバイザー養成講座もおすすめです。
資格取得者限定のコミュニティや勉強会では、レアな発酵食品に出会うこともできるかも?!
参考にしてみてね。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/65/6/65_253/_pdf